2018年禁止表国際基準、2017年からの変更点を解説

2018年の禁止表国際基準が公開されました。

なお、2018年禁止表国際基準は2018年1月1日から2018年12月31日まで適用されます。

2018年はグリセリン浣腸等に含まれるグリセロールが禁止表国際基準から削除されたことが皆様への影響が大きいのではないかと推測します。

2017年からの変更点

できるだけチームドクター、チームファーマシストがつかないアスリートに関係する内容を中心に解説します。

2017年からの変更点は大きく分けて3点あります。

例の追加、カテゴリーの再編及び修正

禁止物質の削除

監視プログラムについて

例の追加、カテゴリーの再編及び修正

例の追加はとても多いです。例の追加は新規追加ではありません。

例の追加に当たる禁止物質は今までも検出されれば陽性でした。特に注意喚起をする目的で例示したという意味です。

サルブタモールの投与方法

S3. ベータ 2 作用薬
● サルブタモールのいかなる12時間枠においてもサルブタモール投与量が800 マイクロ
グラムを超えないことを明確にするために投与パラメーターを修正した(図参照)。


● ツロブテロールを例として追加した。
● 尿中閾値の記載を変更した。

サルブタモールの投与量について、12時間毎800μgを超えないことからいかなる容量から開始しても12時間で800μgを超えないことへ記載が変更されています。

ツロブテロールテープホクナリンテープ(先発商品名)のことですね。

ツロブテロールも平成26年度(2014年)に国内で数多くの違反者を出してしまいましたが(JADA規律パネル)、4年の月日が経ってから禁止表国際基準に例示されました。

子供が病院でもらってきたツロブテロールテープを試しに張ってみてはいけません。

尿中閾値の記載を変更とありますが、英語の原文で表現方法に微修正がある程度で大意と閾値自体は変更無しです。

1,3-ジメチルブチルアミン

S6. 興奮薬
● 1,3-ジメチルブチルアミンを例として追加した。この物質はいくつかの栄養補助食品で
検出されている。

これも例の追加ですので2018年以前でも検出されれば陽性でした。

あえて禁止表国際基準の中で明示されたのは海外製のサプリメントに入っているケース(コンタミネーション含む)があり、2015年4月時点でFDAから警告が出ているためです。

下記リンクをご参照ください。

アンチ・ドーピングのアスリートは1,3-ジメチルブチルアミンが含まれている可能性のあるサプリメントは避けるようにしましょう。

明示されている製品以外にも存在する可能性はあります。第三者機関で禁止物質を含まないかの検査をされていない海外サプリメントの個人輸入はハイリスクです。

アンチ・ドーピングのアスリートは避けるべきでしょう。

その他

これら以外はこのとおりですのでまとめ貼りします。

S1. 蛋白同化薬
● ジヒドロテストステロンは、国際一般名(INN)である(アンドロスタノロン)へ改名した。
1-アンドロステロン(3α-ヒドロキシ-5α-アンドロスタ-1-エン-17-オン)は、外因性蛋白同
化男性化ステロイド薬の例として追加した。
● LGD-4033およびRAD140は、SARMsのさらなる例として追加した。
S2. ペプチドホルモン、成長因子、関連物質および模倣物質
● S2を明確にするために再編した。
● ARA290は、最新の文献が基準を満たさないことを示唆したため、このセクションから
除外した。
● デスモレリン、ゴセレリン、ナファレリン、トリプトレリンは2.1の例として追加した。
● 成長ホルモン断片は2.3にAOD-9604およびhGH176-191を例として追加した。CJC-1293
はGHRHの例として、タビモレリンはGH分泌促進物質の例として追加した。
GHRP-1、-3、-4、-5はGHRPの例として追加した。
● チモシン-β4およびその誘導体であるTB-500等は、禁止されている成長因子の例として
追加した。
● コバルトに関しては、コバルトを含有するビタミンB12は禁止物質ではない。

S4. ホルモン調節薬および代謝調節薬
● クロミフェン(Clomifene)はINNで記載した。
● INNがないため、GW1516のIUPAC名である2-[2-メチル-4-[4-メチル-2-[4-トリフルオロ
メチルフェニル]チアゾール-5-イル]メチルチオ]フェノキシ酢酸を、他の名称である
GW501516と併せて記載した。
● Rev-Erb-α作動薬であるSR9009をAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)物質の例とし
て追加した。

M2. 化学的および物理的操作
● M2.2に関しては、静脈内投与の許容量とタイミングは、6時間あたり50mLを超える点滴
から12時間あたり計100mLを超える点滴へ変更した。禁止物質ではない治療薬 (例えば、
鉄剤 等)を安全に投与するために柔軟性をもたせた。
● 実臨床を反映して、“医療機関の受診過程”は“入院”へ変更し、“臨床的検査”は“臨床検査”
へと明確にした。
M3. 遺伝子ドーピング
● 現状および新たな遺伝子操作技術をふまえ定義を修正した。

S8. カンナビノイド
● “スパイス、JWH-018、JWH-073、HU210等”のカンナビノイド様物質は、“Δ9-テトラヒ
ドロカンナビノール(THC)およびその他のカンナビノイド模倣物質等である合成カンナ
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ビノイド等”へ変更した。合成カンナビノイドは、新薬として絶えず入手可能状況が変化
している精神活性物質の主要クラスの1つである。以前に記載していた例は、現在使用
は少ないが、継続して禁止である。“その他のカンナビノイド模倣物質”は、例を変更し
た。
● カンナビジオールは禁止物質ではない。合成カンナビジオールはその他のカンナビノイ
ド模倣物質ではない。しかし、大麻植物から抽出されたカンナビジオールは様々な濃度
のTHCを含む可能性がある。THCは禁止物質である。
S9. 糖質コルチコイド
● よく使用される糖質コルチコイドの例をより明瞭にするため追加した。

禁止物質の削除

グリセロール

S5. 利尿薬および隠蔽薬
● 2012年以降科学論文で発表されたグリセロールに関する情報、特にアスリート・バイオ
ロジカル・パスポート(ABP)のパラメーターとアスリートの血漿量に影響するグリセロ
ールの作用について考慮した結果、グリセロールによる効果は軽微であると考えられる。
したがって、グリセロールを禁止表から除外した。

2018年はグリセロールが除外されたためグリセリン浣腸が使用可能となります。

グリセリン浣腸の扱いについては当初の見解、指導と異なったために2016年に緊急告知がでていました。

アルコール

P1. アルコール
十分な検討と協議の結果、アルコールを禁止表から除外した。この変更の意図は、アル
コール使用が問題となるいかなるスポーツのインテグリティーや安全性を損なうもの
ではなく、むしろこれらのスポーツにおいてアルコール使用を禁止する他の手段を是認
するものである。この変更によって影響を受ける4つの国際競技連盟(IF)は事前にルール
を変更し、アルコール使用を検査し、ルールを順守しなかった競技者を適切に制裁する
手順を導入するよう通知を受けている。こうした手続き管理によって、IFはそれぞれに
適した規則や閾値を柔軟に適用できるようになる。国内アンチ・ドーピング機関は検査
を行うことはもはや義務ではなくなるが、適切にIFおよび国内競技連盟を支援できる。

アルコールは航空スポーツ(国際航空連盟:FAI)、アーチェリー(国際アーチェリー連盟:WA)、自動車(国際自動車連盟:FIA)、パワーボート(国際パワーボート連合:UIM)の4競技において使用が禁止されていました。

禁止表国際基準からは除外されますが、これらの競技で使用がOKとなったわけではありません。

競技連盟が独自に制裁を定めて適用することになります。

監視プログラムの変更

競技会(時)および競技会外における 2-エチルスルファニル-1H-ベンゾイミダゾール
(ベミチル)
● 競技会(時)におけるヒドロコドン
ミトラギニンおよびテルミサルタンは使用状況に対する必要な情報が得られたため、監視プログ
ラムから除外した。

テルミサルタン(先発商品名ミカルディス)はPPARδ部分作用があるため監視プログラムに入っていましたが、禁止物質に昇格することなく、監視プログラムからも外れました。

テルミサルタンの様な汎用される医薬品が制限なく使用できることはとても良いことです。

特に、グリセロールの禁止表からの削除は多くの人に影響するのではないでしょうか。

2018年の禁止表国際基準は2018年のみ適用されることをお忘れなく!


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ABOUTこの記事をかいた人

薬剤師・スポーツファーマシスト。パワーリフティングというスポーツで現在も競技出場しており、競技者目線に立ったアンチ・ドーピングの解説記事を書きます。 主な戦績 2009年、2011年全日本パワーリフティング選手権大会優勝 2011年世界パワーリフティング選手権大会種目別銀メダル 2012年アジアパワーリフティング選手権大会種目別金メダル 2017年度はパワーリフティング、ベンチプレスともに全日本大会3位でした。 薬剤師名簿登録番号:第409011号