アナボリックステロイドの使用はいけないのか?

ドーピング検査が実施される競技に参加しているアスリートはルールで禁止されていますのでダメですよ。

そもそもアナボリックステロイドとは何ぞやという方は前回の私の記事をご参照下さい。

アンチ・ドーピング初心者向けステロイドの解説

日本はアナボリックステロイド天国である

これを書くと、これからアナボリックステロイドを使い出す人が増えるという懸念があるのですが、スポーツファーマシストとして問題提起します。

そもそも日本は先進国の中でも自由にアナボリックステロイドを使うことが出来る国です。

昔はドーピング違反件数単独首位の業界で情報に通じていた選手がアナボリックステロイドを利用していましたが、今はボディメイク目的や、競技には出ずにちょっとええ身体になりたい方にまで蔓延しています。

インターネットの発達によりアナボリックステロイドの情報が簡単に手に入り、クレジットカードがあれば日本語で作られた海外法人運営のショップページから容易に手に入ります。

アナボリックステロイドの中には日本では未承認の医薬品も含まれています。

未承認薬の輸入自体は個人の使用目的であれば規制されていません。実際に、難病や症例の少ない疾患で未承認薬が輸入され使用されています。本当に未承認薬を必要とする方々がいらっしゃるので全面規制は難しい状況です。従いまして、アナボリックステロイドの輸入も個人輸入であれば規制されません。

けしからん、けしからんと言うのは簡単ですがアンチ・ドーピング側の人間はまずこの現実を認識して下さい。

アナボリックステロイドの広告は違法です

未承認薬の広告は薬機法第68条に抵触しており、未承認のアナボリックステロイドのアフィリエイトサイトは違法なのですが、堂々とアフィリエイトしているブログがありますね。通報しときます。

参考 薬事法マーケティングの教科書

販売目的のアナボリックステロイドの輸入も違法です

ネット上の日本語のショップページは海外法人で輸入代行という位置づけで販売されています。そのため、海外法人については違法性は問えません。

しかしながら、貴殿が海外に行って買い付けたアナボリックステロイドを国内で販売した場合、薬機法違反となります。

ヤフオク、メルカリでいらなくなったアナボリックステロイドの転売も当然アウトです!

行政も天国を助長している

国内の処方薬では選択肢が限られ、おいそれと処方はされませんので必然的にアナボリックステロイドの入手は個人輸入です。個人使用量のアナボリックステロイドであれば輸入通関で止められることもほとんどありません。

数が多いのは分かりますが医薬品ですので事情聴取ぐらいして下さい税関。

とある方からヨーロッパではドーピング禁止物質を所持しているだけで行政処分に問われると聞いたので調べてみました。

フランスでは行政処分を明記した法律があるようです。

http://www.mext.go.jp/component/a_menu/sports/detail/__icsFiles/afieldfile/2011/08/03/1309352_009.pdf

スポーツ選手がドーピング検査で陽性反応が出るなどドーピング禁止行為に違反した場合、または ドーピングコントロールの拒否および居場所情報の義務に違反した場合には、スポーツ連盟から行政 上の制裁処分を受ける。また、禁止物質等を所持している場合、組織的にドーピング違反行為を行っ た場合、スポーツ選手に禁止物質・禁止方法を投与したり譲渡したり利用を唆した場合、禁止物質・ 禁止方法を生産、製造、輸出入し、不正に取引した場合には、刑法上の制裁処分を受ける。行政上の 制裁処分は、まずスポーツ連盟が行う。ドーピングのコントロール、検体の分析、処分の審理、制裁 までの手続については、独立行政機関であるフランスドーピング対策機構(Agence française de lutte contre le dopage:AFLD)が行う。

これに対して、日本はと言いますと、

http://www.sanspo.com/sports/news/20170406/oly17040620500002-n1.html

2017.4.6 20:50

反ドーピング法案、強制権や刑罰化盛り込まず

超党派のスポーツ議員連盟は6日、2020年東京五輪・パラリンピックに向けた日本初のドーピング対策法案を検討する作業部会の会合を開き、議論となっていた行政機関による強制調査権や刑罰化は本則に盛り込まず、施行後速やかに「国の関与の在り方を含めて検討」との表現で付則に置く方針を決めた。 日本開催のラグビーの19年ワールドカップ(W杯)も見据えて18年度の施行を目指す中、態勢整備が間に合わないと判断した。国が強制力を持って取り締まることへの懸念も根強く、今後の検討課題にとどめた。 また、五輪へのプロ選手参加を想定し、プロスポーツ選手も対象に含めることを確認した。国民体育大会を開催する地方公共団体にもドーピング防止活動への努力義務を定める。

もちろん、ドーピング禁止物質の所持程度で行政処分を受けることはありません。

超党派でこの弱腰体制。2020年東京オリンピックに向けて日本はアンチ・ドーピング活動を真面目にやる気があるのでしょうか?

何故アナボリックステロイドを禁止したがるのか?

当然の疑問ですが、これには2つの理由があります。

1 使われるとそもそも勝負にならない

使っている人と使っていない人の差は歴然で、私はこのような例え話を使います。

直線の自転車のレースに大排気量のオートバイを持ち込んだら勝負になりますか?

以前、室伏選手は講演の中でこのような例え話を使われていました。

登山で一人だけヘリコプターで頂上に降り立って登山完了とするようなもの

ユーザーの方からはそこまで極端な差にはならんわーと突っ込みが聞こえてきそうですが(笑)

超えられない壁の向こう側にいる時点でそれはとてつもない差なんですよ。

2 副作用が発生するので人道的な観点から禁止せざるを得ない

副作用は通常の医薬品でも起こるでしょう?

ええ、確かにそうなのですがアナボリックステロイドは治療域をはるかに超えた副作用領域の量で使われています。

プリモボラン(メテノロン)の例ですが、

筋肉増強目的では注射剤で200-400mg/週、経口剤で50mg以上/日とされています。

添付文書通りの使い方ですと注射剤で100mg/1週から2週、経口剤で10-20mg/日です。

プリモボランを選択した理由は日本で医薬品として承認されていて治療域の使用量に医学的な根拠があるからです。

副作用について

当然、副作用域で使いますので副作用は出ます。

そのため、アナボリックステロイドユーザーはその副作用に対抗する医薬品を「ケア剤」と称して摂取しています。

副作用ブロックの医薬品を使用している時点で立派に副作用が発生しているのですが、アナボリックステロイドはそれほど危険ではないと誤った情報を書いているページもあります。

治療域でも副作用は発生します。それを超えた量の医薬品を体内に入れたらアナボリックステロイドじゃなくても危険です。

今からアナボリックステロイドを使ってみたいなと考えている方はこの点を忘れないでください。

顔も知らない、身元も分からない人間が書いた嘘か本当か分からない情報は極めて危険なのです。

偽物の薬によるリスクと被害は無限

上記のプリモボランですが、筋肉増強目的で使われるプリモボランは当然世界に名だたる一流企業のバイエル薬品のプリモボランではありません。

インターネットで手に入るプリモボランはよくわからないメーカーのものがあります。

政府の承認を得ている正規のジェネリック医薬品会社なら良いのですが、ジェネリック医薬品会社を装ったインチキメーカーのものの場合、

そもそも何が入っているか分からない(表示通りの成分でない可能性大)

そのため体内に入れた時何が起こるかわからない(非常に危険)

何かが起こってしまってもあなたの身体は元には戻らないかもしれません(時間は戻りません)

という恐怖と絶望しか無い状態に陥ることもあります。言うまでもなく、100%自己責任です。

これでもあなたは見たことも無い人が勧めているアナボリックステロイドを使いたいですか?

厚生労働省も注意喚起していますよ。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/kojinyunyu/

何故、アナボリックステロイドを使うのか?

試合に勝ちたいから

と、考える方はそもそもアナボリックステロイドありのスポーツ団体で頑張ってください。

トレーナー関係者が見た目美しい身体をしていないと商売にならない。

獲得できる金銭の増減については一定の理解が出来ます。ただ、その素晴らしい身体がアナボリックステロイドや他のドーピング禁止物質を使いながら作られたことはずっと隠し通さないといけません。

薬の使用をカミングアウトしますと、

何だ薬かよ。

薬だけではなく努力ももちろん必要ですが、薬ありがバレるとその努力は1%も評価されなくなります。(日本はコンプライアンス重視の国です。)お客さんも逃げるでしょうね。

隠し通すのはなかなか大変ですよ。副作用は身体の見た目にも現れますので(笑)

アナボリックステロイドはアンチ・ドーピングの競技者はルール上禁止なので助平心で使ってはいけません。

バレないだろうと考えてバレてしまった人達のリストを再度掲載しておきます。

JADA規律パネル2016

どうしても己の極限を目指したいという危篤な人は脱獄して修羅の国(ドーピングありの団体)で頑張ってください。

アナボリックステロイドで検索されてこのページにたどり着かれた方はデメリットも知りたいのだと思います。軽い気持ちで興味があるけどどうしようかと考えている方はちょっとええ身体になれるかもしれませんが、副作用が必ず発生します。偽物を捕まされて人生が詰むかもしれません。周囲の賞賛とは裏腹に使っていることは隠し通さないといけません。

デメリットが多すぎるので余程の覚悟がないかぎり使われないほうがよいでしょう。

アナボリックステロイドに限らず、実際にドーピング検査で陽性(違反)となって、アスリート人生に影響が出てしまった方々をまとめています。

マリア・シャラポワうっかりドーピングではありません ドーピング違反事例をメッタ斬り

NO系サプリメントはNo

ガトリン優勝 されどドーピングの罪は一生続きます

https://mettagiri.com/difference-amo/

前代未聞?!禁止物質投与事件をメッタ斬り

平昌五輪ドーピング陽性 コンタクトレンズ保存液にアセタゾラミドとかありえない 違反事例をメッタ斬り

 

 


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ABOUTこの記事をかいた人

薬剤師・スポーツファーマシスト。パワーリフティングというスポーツで現在も競技出場しており、競技者目線に立ったアンチ・ドーピングの解説記事を書きます。 主な戦績 2009年、2011年全日本パワーリフティング選手権大会優勝 2011年世界パワーリフティング選手権大会種目別銀メダル 2012年アジアパワーリフティング選手権大会種目別金メダル 2017年度はパワーリフティング、ベンチプレスともに全日本大会3位でした。 薬剤師名簿登録番号:第409011号