競技会時禁止とか常時禁止って何?

当ブログの解説に常時禁止とか競技会時禁止いう文言で説明を行っている事があります。これらは、

WADA(世界アンチ・ドーピング機構)が毎年規定している禁止表国際基準の中に記載されている禁止事項の種類です。

こんにちは。スポーツファーマシストの奥谷元哉です。

常時禁止物質、方法

常時禁止物質、方法は競技会に関係無く禁止されています。

具体的には競技会の時の検査と競技会外検査(いわゆる抜き打ち検査)のどちらかで陽性反応が出た時に違反となります。

俺は抜き打ち対象じゃないから大丈夫なんだ

実際のところ、尿検査を持って陽性、陰性を決めている以上抜き打ち対象となっていない競技者は競技会が遠い時期は常時禁止物質や方法を使っていても違反となる証拠が得られません。

しかしながら、検査精度が上がっている現在では今までのような何日前にやめれば大丈夫という考え方が通用しなくなってきています。

また、後ろ暗い事には必ず噂が出るため競技連盟に密告が入り、競技連盟からマークされることになります。

日本ではスポーツで活躍しても海外ほどの金銭メリットが受けられないことを考慮しますとデメリットの方が多く、最初からクリーンに競技を行っていた方が良いです。

常時禁止物質、方法には下記の項目がありますが、処方せんで出る医薬品もあるので注意が必要です。

処方せんで出る医薬品の場合は医師の診察の基、処方されますのでTUEを申請できます。

全てが通るわけではありませんが常時禁止物質、方法を用いながら競技会に出る手段はあります。

SはSubstance(物質)、MはMethod(方法)です。

S0.無承認物質 S1.蛋白同化薬 S2.ペプチドホルモン、成長因子、関連物質および模倣物質 S3.ベータ2作用薬 S4.ホルモン調節薬および代謝調節薬 S5.利尿薬および隠蔽薬 M1.血液および血液成分の操作 M2.化学的および物理的操作 M3.遺伝子ドーピング

競技会時に禁止される物質

こちらのカテゴリーは競技会の時の尿検査で陽性となった場合、違反となります。

抜き打ち検査で陽性となっても違反は問われません。

日常生活をしながら競技会前に十分な日数を空ける必要があります。

もちろん、代わりになる薬に変更しておけば直前での中止忘れが防げますので本当は変えておいた方が良いのです。

薬の種類によっては全ての物質が禁止される場合もあれば特定の物質や特定の投与方法が禁止される場合もあります。

今後のブログ記事で解説いたします。

競技会時に禁止される物質と方法は下記の項目があります。

S6.興奮薬 S7.麻薬 S8.カンナビノイド S9.糖質コルチコイド ※方法(M)はありません。

特定の競技において禁止される物質

P1.アルコール

以下の競技は競技会時にアルコールの摂取が禁止されています。

アルコールは尿検査ではありません。

呼気分析または血液分析で血中アルコール濃度0.10g/Lと同等の濃度が検出された場合違反となります。

航空スポーツ(国際航空連盟:FAI)
アーチェリー(国際アーチェリー連盟:WA)
自動車(国際自動車連盟:FIA)
パワーボート(国際パワーボート連合:UIM)

血中アルコール濃度0.10g/Lは気になる数字です。

どのくらいの飲酒量なのか下記のページで試算してみましたが、私の体重(74kg)でビールで160mlと非常に厳しい結果でした。(下記のページは%表示ですが、g/Lに換算するためには10をかける必要があります。)

現在の酒気帯び運転の血液濃度での基準が0.03%(0.3g/L)なのでその3倍厳しい水準です。

飲酒運転ダメゼッタイ!

P2.ベータ遮断薬

下記のスポーツで競技会時禁止とされていますが、指示がある場合は競技会外でも禁止されることがあります。

アーチェリー(国際アーチェリー連盟:WA)※競技会外も禁止
自動車(国際自動車連盟:FIA)
ビリヤード(全ての種目)(世界ビリヤード・スポーツ連合:WCBS)
ダーツ(世界ダーツ連盟:WDF)
ゴルフ(国際ゴルフ連盟:IGF)
射撃(国際射撃連盟:ISSF、国際パラリンピック委員会:IPC) ※競技会外も禁止
スキー/スノーボード(国際スキー連盟:FIS)- ジャンプ、フリースタイル(エアリアル/ハーフパイプ)、スノーボード(ハーフパイプ/ビッグエアー)
水中スポーツ(世界水中連盟:CMAS)コンスタント-ウェイト アプネア(フィンありフィンなし)、ダイナミック アプネア(フィンありフィンなし)、フリーイマージョン アプネア、ジャンプ ブルー アプネア、スピアフィッシング、スタティック アプネア、ターゲットシューティングおよびバリアブル ウェイト アプネア

私のブログの読者はマッチョ系の諸氏が多いためベータ遮断薬で何で禁止なの?と思われるかもしれません。

ベータ遮断薬には緊張や不安感を抑える作用もあります。

そのため、上記のスポーツでは緊張やメンタルによって大きく競技成績が変わります。

例えば、プロゴルファーがこんなの素人でもなかなか外さないだろうという距離(30cm以内)を勝ち負けがかかった時に外してしまうのはプレッシャーの要因が大きいからです。

監視プログラム

監視プログラムとはその名の通り、検査結果から出た場合、使用状況が監視されています。

監視されているだけでその年度内は禁止ではありません。特に手続きを踏むこと無く使っていただいて大丈夫です。

しかしながら、翌年以降禁止物質に昇格するケースもありますので翌年の禁止物質国際基準が改訂された時は速やかに確認をする必要があります。

2015年にメルドニウムは監視プログラムでしたが、2016年にS4.ホルモン調節薬および代謝調節薬に昇格し、常時禁止物質となりました。

2017年もS4の常時禁止物質です。

これに引っかかってしまったのがテニスのマリア・シャラポワ選手です。

彼女は確認していなかった、WADAの知らせ方に問題があったとして物議をかもしました。

私はミスではなく、意図的な摂取だったと理解しています。

その理由については上記のリンクページ内で解説しております。

まとめ

禁止物質、方法の種類について解説しました。

競技者自身がどのカテゴリーの物質を摂取しているか把握しておくことはドーピング違反をしてしまわないためにとても大切なことです。


禁止物質を含まないことを検査されたサプリメント