ブラック企業?!オリンピックのスポーツファーマシスト募集要項がひどすぎる

スポーツファーマシストの奥谷元哉です。

大阪府薬剤師会から2020年の東京オリンピックのスポーツファーマシスト募集の要項が来ました。

あまりの酷すぎる内容に絶句しました。

本当はもっとアスリートのためになる建設的な情報を発信していきたいのですが、同じ薬剤師が奴隷のような扱いをされるのを黙って見過ごすわけにもいかず。。。と、いうところです。

下記、メールの内容を抜粋

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会より大会開催前後に設置される
選手村総合診療所における薬剤業務に協力可能なボランティア薬剤師の確保につき、
現時点における日本薬剤師会宛に依頼がありました。
日薬の依頼を受け、公認スポーツファーマシストの資格取得が要件にあるため、
大阪登録の公認スポーツファーマシストの先生方にご案内させていただきます。
協力者の要件を満たし、診療所での薬剤業務協力を希望される方は本会宛メールにて
ご連絡をいただきますようお願い申し上げます。
メールを送信いただきました先生には改めてご連絡させていただきます。

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東京オリンピック・パラリンピック競技大会での選手村総合診療所における
薬剤業務への協力に関するボランティア薬剤師の調査について(依頼)
―――――――――――――――――――――――――――――――――
【選手村総合診療所の概要】
開設場所:東京都中央区晴海(予定)
開設期間:2020 年7月8日(水)~9月9日(水)
診療時間:16 時間(7:00~23:00) ※救急サービスは 24 時間
対象:選手村内に居住する選手、役員等

【薬剤師の担当業務等】
〇 診療所内で発生する処方箋に基づく調剤
〇 診療所等で使用する医薬品の管理

【勤務体制】
24 時間3交代勤務を想定。

【必要となる薬剤師数】
一人 10 日勤務とした場合の実人数は 36 名。

【協力者の要件】※下記1~3を全て満たす必要あり。
1. (公財)日本アンチ・ドーピング機構(JADA)認定の公認スポーツファーマシスト
である(平成 30 年4月に認定見込みの方も含む)。
2. 開設期間中に 10 日間程度勤務可能である(連続でなくても可)。
3. 英語で服薬指導が出来る。
4. 病院・診療所での勤務経験(注射薬・輸液等の取扱いの経験)があることが望ましい。
(調査にあたっては、病院・診療所での勤務経験の有無もご回答下さい)

【その他】
〇 報酬及び旅費の支給なし。
〇 宿泊施設の手配なし。
〇 ユニフォームの支給あり。

※ 今回、ご協力いただけるとご回答いただいた方に、必ずしもボランティアをお願いす
るとは限りませんのでご了承下さい。また、以上の内容は現時点における予定であり、
今後詳細も含め変更になる可能性があります。

【返信期限】
平成29年10月29日(金)午後5時

突っ込みどころ満載の募集内容

スポーツファーマシストで調剤業務があり、英語での服薬指導が出来、輸液もあつかえる。

こんなスーパー薬剤師をオリンピックで無料で調剤、投薬してくださいと。

しかも、交通宿泊費自腹で。

交通宿泊費も出さないとかボランティアどころかマイナスです。ブラック企業の自爆営業みたいなものでしょうか。

上述の高度な技能を有する薬剤師を派遣するわけですから交通宿泊費支給は当然のこと、日当も最低3万円は出さないと人材に見合いません。

我々薬剤師、スポーツファーマシストの職能は誰でも出来るものではありません。

さらに最低でも10日間来てくださいと。

お勤めの方、10日も有給取れますか?(笑)

上記の日当と交通宿泊費を入れても1300万円いきません。

オリンピック委員会が金を出せないならこういう時こそJADAが義憤で出してくれませんかねえ毎年数億円余らせているようですし。

極めつけは締め切りが来月末。開催は3年後。

北朝鮮がミサイルを撃ちまくっているご時世。

3年後なんて分かりませんよ。。。

オリンピック運営の問題

立派な箱を異常な経費で建設し、人件費はボランティアでなんとかする。

何で箱もボランティアで建設できないのでしょうか?

オリンピック運営に関われたら名誉だからタダ働きでもいいだろう。

悪質すぎませんかオリンピック運営というのは。

日本薬剤師会や大阪府薬剤師会もオリンピック委員会から来た内容をそのまま流してしまったのだと推測します。

薬剤師の権利を守るためにもオリンピック委員会と条件交渉してくださいよ。

上記のメールには返信で抗議しておきました。

例えば、会場の清掃活動に従事することやチケットを切る仕事でしたらボランティアの範囲内かもしれません。(それでも交通宿泊費くらいは提供するべきですが。)

専門の職能まで自腹切って提供して下さいというのはボランティアの範囲を超えていないでしょうか。

薬剤師に限らず、タダ働き大好きの日本人はボランティアで提供できる範囲を超えていないかどうか今一度よく考えてみませんか。

ただほど高いものはないはずです。

10月14日追記

本ブログはドーピング違反しないための情報発信ですので本記事はそぐわない内容なのですが、あまりにも本記事の反響が大きく、ついにネットでは大手のBuzzFeedNEWS様でも取り上げられたため驚いております。

こんなにも反響があったのは多くの一般の方が読んで「そりゃないだろ」と思われたからではないでしょうか。

「そりゃないだろ」という感覚は非常に大切なコモンセンスでもあります。いかにオリンピック委員会や薬剤師会の考え方がコモンセンスから逸脱していると感じられた方が多いことかと推測できます。

例えば、オリンピックを見に来ていやあ良かった、感動したな。明日は午前が空いているのでせっかくだから何かオリンピックのためにお手伝いをしよう。これはボランティアです。

8時間拘束で最低10日は来てください。これはボランティアと言えるのでしょうか?スポーツファーマシストの資格を持っていて、英語で投薬が出来て、輸液も扱えて下さい。このような特定の条件、強い拘束力を持っているのであればボランティアではなく、仕事です。仕事をする人を派遣するのですから当然、交通宿泊費と日当は支給されるべきです。

人が動くのにタダはありえないのです。オリンピックの手伝いに行くから新幹線タダで乗せてよ。

国がそういう政策を実行しない限り、JRが太っ腹を見せない限りそれは無理ですよね。(これでも国のお金を使うかJRが泣くかのどちらかで本当の意味では無償ではありません。)

常識で考えれば分かることです。

一方で我々、スポーツファーマシストは日々の勉強だけでなく資格を取得するための費用及び資格を維持するための更新費用を支払っています。しかしながら、スポーツファーマシストの資格を取っても給与が上がることはほとんどの薬局、病院でありえません。

その上でその資格をタダで行使してくださいという要求。スポーツファーマシストの資格も勉強はしますのでタダにはなりませんかね?

すでに資格の存在でさえタダの上には成り立っていないにもかかわらず。

その背景があってのこのド厚かましい要求です。

オリンピック委員会の要求はド厚かましいです。

しかしながら、ド厚かましい要求に対してド厚かましい要求を返して交渉はスタートします。

薬剤師会はあくまでも調査であるとアナウンスしておりますが、もう少し現実に即した案になるまで何故交渉してからメールを送らなかったのか。

これは怠慢です。

何故、私がここで怠慢という表現を使うかですが、薬局、病院は医薬品を医薬品卸の会社から購入しております。

その卸からの掛率を有利になるようそれはもう粘り強く交渉することを歴史的に行ってきました。

あまりにも長引き、薬価改定直前に妥結なんてこともあるくらいです。

そうです。薬剤師は決して交渉下手では無いのです。

オリンピック委員会からの無理難題にも自慢の交渉力で当たって欲しいと私は願っております。

簡単に相手の要求を鵜呑みにしない。

それも価値を高めるために必要ではないでしょうか。


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