ドーピング検査で尿がなかなかでない。付き添いできたけど選手が尿検査に時間がかかる。
こんな体験はありませんか?
私も2016年の6月の全日本パワーリフティング選手権大会でドーピング検査を受けました。
スポーツファーマシストですので禁止項目についてはひととおり把握しているつもりですが、実際に検査に当たりますとまさか出ないよな?などと思ってしまいました(笑)
陰性の結果は選手に通知されない
陰性の結果、つまりは違反していなかったという結果は選手に通知されません。これは国によって異なるそうで、通知される国もありますが日本の場合、陰性の結果は選手に通知されません。
陰性の場合、通知が行われないので選手は本当に大丈夫なのかとても気になるところですが、便りのないのはなんとやらです。逆に陽性(違反)の場合は、かなり早く概ね2ヶ月以内に通知がきます。
私も通知をもらわず、1年以上経過したので冒頭で書いた検査は陰性ということになります。
ドーピング検査の実施時間は概ね一時間程度
ドーピング検査ですがトラブルややり直しがない限り、概ね一時間程度で終わります。
手順は動画でJADA(日本アンチ・ドーピング機構)のホームページにまとめられているので皆さんも是非一度は見て下さい。
http://www.realchampion.jp/process/examine_urinalysis
採尿カップですが、動画の通りでビニール袋に入っています。
性格の悪い私は問題が無いか開封前に時間をかけて入念にチェックしました。
なんと本当に偶然に選んだはずの採尿カップの袋に穴が開いていました。
さすがにこれには検査員もあわてていました。
交換したカップは穴が開いていなかったので粛々と採尿を行いました。
検査員曰く、某発展途上国で作らせている。検品はしているが、まれにこういうことは起こる。だ、そうです。
穴が開いているということは汚染されている可能性がありますので皆さんも採尿カップを選んだ時は入念にチェックして下さいね。
時間がかかる原因は比重測定の不合格
採尿後、検体用ボトルに分注を行います。
採尿カップに残った尿で比重測定が行われるのですが、
比重計で1.005未満の数値が出ると(要は尿が薄すぎると)、採尿からやり直しになります!!
試合が終わってドーピング検査に行ったあいつがなかなか飲み会に来ない。それは十中八九、この比重でアウトをくらっています。なんだか分注の時にこぼす人もいるそうですが、再検査のほとんどの原因はこの比重で低い数値がでてしまうことです。
比重の値が小さくなる原因は、水分のとりすぎです。
早くドーピング検査を終わらせたいという心理が働くと、検査員から無償で渡される水やスポーツドリンクをがぶ飲みしてしまいます。ほとんどの選手は競技中も水分補給をしていますのでここでがぶ飲みすると低比重尿まっしぐらです。
ドーピング検査の時間を短くするコツは試合終了後すぐにはトイレに行かず、自身も含めて誰かがシャペロン(通告人)から検査通告を受けた事を確認してからトイレに行くようにすることです。
試合が終わってトイレに行った直後に検査当選を通告されるのが最悪のパターンで、早く尿を出さねばと一気に水分を摂取をしますとめでたく比重の低い尿を出して再検査となります。あせってさらに水分補給を急いで行うと、再検査ループとなります。笑い話のように見えるかもしれませんが、実際にやってしまっている選手がいます。
〆
試合後にトイレに行くタイミングをコントロールするだけで再検査になる可能性はほとんど無くなります。
初めての検査は特に緊張しますが、普段から体内に入れる細心の注意を払っていれば大丈夫です。
ドーピング検査の裏話の記事です。
ドーピング違反しないための基本はこちらの記事でまとめています。