ギャスパリニュートリション アナバイトは避けましょう 違反事例をメッタ斬り 

アナバイトに限らずですが、ドーピング検査を受ける可能性のあるアスリートはギャスパリニュートリションの製品は避けましょう。ギャスパリニュートリションはビジネスとしてドーピングに関係の無い消費者をメインのターゲットとしているととれらるからです。

ギャスパリニュートリションのサプリメントが原因とされる違反事例が再度でました。

ギャスパリニュートリションと言えば、SP250という製品で2015年に二人のボディビルダーがドーピング違反となりました。

今度はアナバイト(ANAVITE)というビタミン剤の製品でまた一人のアスリートを地獄に叩き落としてくれました。

なお、ギャスパリニュートリションはSP250が初犯ではありません。過去にもFDAからワーニングレターをもらっており、GMPに準拠して製造しているか疑わしいサプリメントメーカーです。

FDAのギャスパリニュートリションへの指摘が記載しているページへのリンクです。

SP250のドーピング違反事例については当ブログで過去に解説しました。

アナバイトとは

ギャスパリニュートリションというアメリカのブランドが販売しているマルチビタミンミネラルです。

数ある中から何故このブランドを選ぶというのかですが、

成分が国産のマルチビタミンミネラルよりも多く含有されており、安価であり、英語ができなくてもAmazonを経由して手に入るなどの入手性が優れている。

ギャスパリというボディビルダーのブランドでもあるので競技者志向というブランドイメージがある。

競技能力向上目的ではないマルチビタミンミネラルなので禁止物質が入っていると疑いにくい。

ネット検索をすると薬機法違反ととれてもおかしくない表現でべた褒めしているアフィリエイト記事がある。

こんなところでしょうか。

事件の概要

CAS(スポーツ仲裁機構)のページに記載されております。

なお、私のブログはあくまでも公式の書類から重要な部分を引用し、解説を行います。

経緯は以下の通りです。(CASより抜粋)

本件は、申立人が平成28年10月8日に開催された第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」自転車トラック・レース(以下「本競技会」という。)に参加した際に、同日実施されたドーピング検査(以下「本件検査」という。)を受けたところ、申立人の尿検体から、世界アンチ・ドーピング機構(以下「WADA」という。)が公表する2016年禁止表国際基準(以下「禁止表」という。)に定める「S1. 蛋白同化薬/1.蛋白同化男性化ステロイド薬(ASS)/a.外因性ASS」に該当する、1-テストステロン(1-Testosterone)の代謝物である5α-androst-1-en-3α-ol-17-one及び1-アンドロステンジオン(1-androstenedione)(以下「本件検出物資」という。)が検出されたことにより、日本アンチ・ドーピング規程(以下「JADA規程」という。)2.1項の規則違反として、日本アンチ・ドーピング規律パネルが申立人に対して同年12月26日付で行った下記の決定(別紙2参照)(以下「原決定」という。)に対して、申立人が原決定の取消し、並びにJADA規程10.2.2項及び10.5.1.2項の適用を求めて仲裁申立てをした事案である。

(原決定の内容)

・ JADA規程2.1項の違反が認められる。

・ JADA規程9条及び同10.8項に従い、平成28年10月8日(検体採取の日)から同年10月28日(暫定的資格停止期間の開始日)までに獲得された競技者のすべての個人成績(第71回国民体育大会「希望郷いわて国体」自転車トラック・レースにおける競技成績を含む。)はいずれも失効し、かつ、上記期間において獲得されたメダル、得点、及び褒章はいずれも剥奪される。

・ JADA規程10.2.1.1項本文及び同10.11.3.1項に従い、平成28年10月28日より4年間の資格停止とする。

申立人は自転車競技の寺崎浩平選手です。

一度はJADAから4年間の資格停止が出ています。

それを不服としてスポーツ仲裁機構に申し立てました。

申立人は、WADA認定の分析機関であり、米国ユタ州ソルトレークシティに所在するThe Sports Medicine Research and Testing Laboratory(以下「SMRTL」という。)に対して、本件仲裁の進行協議期日において被申立人との間で合意した方法によって、本件サプリメント(但し、別紙3⑪記載のサプリメントを除き、同④-2記載のサプリメントを含む。以下、本5項において同じ。)に上記(1)記載の原因物質が含有されているか否かの検査(以下「本件サプリメント検査」という。)を依頼した。

(3)本件サプリメント検査の結果、本件サプリメントのうち、ANAVITE(平成28年8月26日購入分)(別紙3④-1)及びANAVITE(平成28年9月7日購入分)(別紙3④-2)の両方から、本件検出物質又はその原因物質である可能性が極めて高い1-アンドロステンジオン(1-androstenedione)が、それぞれ、1錠につき約50ナノグラム及び1錠につき約40ナノグラムが検出された(甲28、29)。なお、これらのうち、申立人が本競技会に参加する前に摂取していたのは、ANAVITE(平成28年8月26日購入分)(別紙3④-1)(以下「本件ANAVITE」という。また、別途定義するものを除き、製品としてのANAVITE一般を指して、以下「ANAVITE」という。)のみであり、ANAVITE(平成28年9月7日購入分)(別紙3④-2)は、本件サプリメント検査にあたって、本件ANAVITEの残量がわずかであったことから、検査試料としての十分性を確保するために提出されたものである(但し、製造番号は本件ANAVITEと同一である。)。

また、上記のほか、本件サプリメント検査の結果、本件ANAVITEから、1錠につき約300ナノグラムの禁止物質たるDHEAが検出され、QH-Absorb(別紙3②)から1錠につき約90ナノグラムの禁止物質たるオキサンドロロン(oxandrolone)が検出された(甲16、28)。

さらに第三者分析機関に依頼し、使用していたサプリメントの中に意図しない成分が混入していた事が突き止められ、資格停止期間が4年から4ヶ月に短縮されました。

何故、寺崎浩平選手はアナバイトを使用しても問題ないと判断したか?

それも記載があります。

申立人が2回目にANAVITEを購入した平成28年8月26日時点では、「SP250」から検出された禁止物質に関する日本アンチ・ドーピング規律パネル決定(乙20、21)は公開されていたが、ANAVITE(平成27年9月7日購入分)を摂取していた期間に受けた前回競技会でのドーピング検査において陰性という結果が出ており、申立人においてANAVITEには禁止物質が含まれてないとの確信を持つに至っていた。

申立人がインターネットにより「ANAVITE」や「ANAVITE ドーピング」で検索したところ、ANAVITEに禁止物質が含まれていることやANAVITEを摂取したことによるドーピング違反事例に関する記事は見当たらず、かえって、ANAVITEを摂取しながらドーピング検査を受けてもドーピング違反に問われなかった旨の内容が記載されたブログ記事が存在すること。

ANAVITEのメーカーであるガスパリ社のホームページに、同社の製品が、cGMP(current Good Manufacturing Practiceの略。製品ラベルに表示される身元、組成、品質、純度等を製品が保証するためのプロセスや手続き、文書等の体系に関する米国食品医薬品局が示したガイドライン。)認証を受けている会社において製造されている旨記載されていること。

寺崎選手は三点の理由で安全性が高いと判断したようです。

1 過去に同じアナバイトをとっていて検査をパスできたので今回も大丈夫だろう。

2 調べても1をフォローするような情報が見つかってしまう。

3 GMPという言葉を建前上でしか理解していない。

ブログ記事とは私が冒頭で批判的に書いたワークアウトハッカー氏のアフィリエイト記事です。

もちろん、氏からすれば自分以外の記事にも書いているのでは?と、思われるかもしれませんが氏の記事はSEOに優れており検索1ページ目の1番上に来ますので氏の記事を見ていないと結論付けるのは逆に難しい状況です。

自転車競技の選手までが閲覧していますので月間最高90万PVブロガーというのは相当な影響力です。

8月22日追記:ワークアウトハッカー氏により下記画像の記事の修正が行われました。迅速なご対応まことにありがとうございます。

 

知識の無い人が知識を得ようとして泥沼にはまる

昨今の状況はこのようになっています。

少し前まではGoogleで検索すれば済みましたが、今はGoogleで検索してもダメな情報が検索トップに表示されることが多く、ネット検索を推奨しにくくなってきました。ただし、Googleも何もしていないわけではなく、このような宣伝だけが目的の情報サイトの順位を落とすためのアップデートを頻繁に繰り返しています。

最近は特に、専門家の意見よりも口コミが重視されるようになったためこのような被害が発生しやすくなりました。

過去にドーピング検査でセーフだったサプリメントが次もセーフとは限らない

過去にセーフだったサプリメントは安全そうに感じますが、過去の履歴は現在及び未来永劫同じ結果を保証するものではありません。

もちろん、過去アウトの製品は当然避けるべきなのですが絶対に一度もアウトを出してはいけないアンチ・ドーピングのルール上、過去セーフというのは曲者なのです。

残念ながら、私の周囲にも過去の履歴を基準に考えてしまう方が多いです。

今回の事件で過去は過去、今は今であることがよくご理解できたと思います。

寺崎選手は実際に過去アナバイトを摂取している状況でドーピング検査にパスしています。

しかし、今回はそのアナバイトに含まれている禁止物質で違反となった。

これはロットが違えば予測できない禁止物質が含まれている好例です。

皆さん、認識を改めて下さい。過去は過去です。

今回の件で、寺崎選手が提出したサプリメントの分析結果でアナバイトではないもう一つのサプリメント(Jarrow FORMULAS社のQH-Absorbというユビキノールサプリメント)もロット違いによりコンタミの結果が出ています。

本件サプリメント検査の結果、「QH-absorb」(別紙3②記載のサプリメント)から禁止物質が検出されているが、本件検査においては、申立人の尿中から当該禁止物質は検出されておらず、また、そもそも、本件検査時に申立人が摂取していた「QH-absorb」は、本件サプリメント検査時に検査対象としてSMRTLに提出されたボトルと異なるボトルのものである。

 

専門家でもない人物がべた褒めしている情報を信用してしまう恐ろしさ

申立人は、サプリメントについて、チームメイトと情報交換することはあったものの、自らが摂取するサプリメントの選択については、監督、コーチと相談することはなく、インターネット等で調べて自ら判断していたとのことである。)、申立人に「過誤」が認められることは明らかである。

身元不明、実績不明、資格不明、顔も見たことが無い人物の意見の方が身近な人物の意見よりも信頼されてしまうのがネット社会の恐ろしさです。

ワークアウトハッカー氏もボディメイクや体作りと言った面では実績のある方のようですが、残念ながらサプリメントの製造までは知識がありません。

そのため、安易に過去に知人ボディビルダーが検査結果で大丈夫だったからという伝聞を基にアナバイトは大丈夫なサプリメントであると書いてしまったのだと推測されます。

製造の実態を知っている方や専門家であればこのような書き方は出来ません。

ワークアウトハッカー氏は良心があるならここの文書の修正されて下さい。

8月22日追記:ワークアウトハッカー氏により下記画像の記事の修正が行われました。迅速なご対応まことにありがとうございます。

 

GMP表示の信頼性が失墜している

確かにGMP工場で製造されているので然るべき文書化された手順に基づき、製造され出荷されているのでしょう。

しかしながら、医薬品の製造に少しだけ関与した私から言わせますと、同じ手順で作っていても予期しないコンタミ(毛髪、皮脂、爪等)はロットによって存在します。それらが出荷されないための試験をGMPに組み込んでいるはずなのですが機能していない工場は実際に存在するようです。

さらにもっと言えば、不純物試験でアウトになる閾値を緩くしておくことをプロトコールに組み込んでいれば50ナノグラム程度の1-アンドロステンジオンや300ナノグラムのDHEAは出荷試験で検出されていても合格となり、出荷されます。もちろん、あらかじめ決めているのでプロトコールが成立し、GMPとしても問題がありません。

もっと悪い言い方をすれば、製品の人気を上げるためにあえて微量の1-アンドロステンジオンやDHEAを製造工程の中で入れるようバリデート(手順を文書化)されていれば・・・

これでもあなたはGMPという言葉だけを聞いてそれを安全だと盲信しますか?

ちなみに、日本よりもアメリカの方がGMPが厳しく、全てのサプリメントは厳しい基準であるはずのcGMP認証工場で製造されなければなりません。

しかしながら、なぜアメリカのアンチ・ドーピング機構の危険なサプリメントのリストには緩いGMP基準で作られている日本の製品は無く、厳しい基準であるはずのアメリカの製品がほとんどなのでしょうか?下記は、アメリカのアンチ・ドーピング機構が作成した禁止物質を含む可能性の高いサプリメントの一覧です。

※このリスト見るにはアカウントの作成が必要ですが、捨てアドでもアカウントは作れます。

GMPはあくまでも規定の手順に基づいて製造されたことを証明するための仕組みで、製品としての再現性を確立するための仕組みです。

残念ながら、サプリメントはGMP表示でも普通にコンタミするようですので第三者機関でドーピング禁止物質がコンタミしていないことを検査されたサプリメントの使用を推奨します。

 

資格停止期間短縮を評価してはいけない

寺崎選手はスポーツ仲裁機構に申し立て、4年という資格停止期間が4ヶ月に短縮されました。

しかしながら、これは過誤の程度において短縮されたため過誤が無いわけではありません。

寺崎選手も含めてすべての人に意図しない成分の被害者ではなく、ドーピング違反をしてしまったという厳しい認識でいただきたい。そうでないと、今後も同じミスをする可能性があります。

陰性の結果がアンチ・ドーピングの競技者として当然の価値観

全ての行動の最終責任は競技者自身にある

これがアンチ・ドーピングの厳格なルールです。

サプリメントを使用しないというのも選手としての選択肢の1つです。

武井壮氏の厳しいコメントを再度貼っておきます。

ドーピングした選手が復帰するのは構わないけど、試合にも出れずその間黙々とトレーニングを積んだ努力を認めるべき、ってさ、ドーピングしないで黙々と日々トレーニングして試合に出てその業界を発展させているアスリートの頑張りはより尊いんだよ。。ドーピングで出した世界記録の100倍尊いよ。。

— 武井壮 (@sosotakei) 2017年8月8日

 

どのようなサプリメントが安全か

GMPの項目でも書きましたが、自主的に第三者分析機関での試験に出されているサプリメントメーカーの製品が安全確率が高いです。

最も安全確率が高いのは全ロット検査されているメーカーの製品です。と、言いますか今回の事例も考えますと全ロット検査以外は検査として意味をなしていないです。

以前はJADA認定製品を推奨しましたが、どうも実態に懸念があるようです。

かつてJADA認定だったDNS社はその問題点を指摘し、離脱。LGCというイギリスの検査機関が行っているインフォームド・チョイスに乗り換えました。

残念ながらインフォームド・チョイスは全ロット試験ではありません。同じLGCの行う認証規格にインフォームド・スポーツという全ロット試験の認証規格があり、より推奨されます。また、アメリカのBSCGという認証システムも全ロット検査のシステムで極めて安全性が高いです。

全ロットアンチ・ドーピング認証を取得しているサプリメントメーカーの一例

ドーピング検査を受ける可能性があるアスリートはギャスパリニュートリション社の製品は避けて下さい。すでに2商品も禁止物質が見つかっています。

ドーピング検査を受ける可能性のない人は自己責任で判断してください。明るみになっているコンタミは禁止物質だけですが、他の有害な物質が入っているかもしれません。私なら使いません。

違反事例をメッタ斬りにした記事をまとめています。

 アンチ・ドーピングの解説書 
アンチ・ドーピングの解説書
https://mettagiri.com/difference-amo/
ドーピング違反しないための方法をスポーツファーマシスト(薬剤師)が詳しく解説します。

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ABOUTこの記事をかいた人

薬剤師・スポーツファーマシスト。パワーリフティングというスポーツで現在も競技出場しており、競技者目線に立ったアンチ・ドーピングの解説記事を書きます。 主な戦績 2009年、2011年全日本パワーリフティング選手権大会優勝 2011年世界パワーリフティング選手権大会種目別銀メダル 2012年アジアパワーリフティング選手権大会種目別金メダル 2017年度はパワーリフティング、ベンチプレスともに全日本大会3位でした。 薬剤師名簿登録番号:第409011号