ドーピング禁止物質を検索する方法 禁止表国際基準 Global DRO 薬剤師のためのアンチドーピングガイド JADA スポーツファーマシスト 薬剤師

スポーツファーマシストの奥谷元哉です。

どこかで自分の飲んでいる成分がドーピングの禁止物質に当たるかどうかを調べられないですか?

と、いう質問をよく受けます。

いくつかあります。

が、あまりオススメできません。

アスリート自身が禁止物質を調べる方法について解説します。

禁止表国際基準

禁止表国際基準が全ての基準ですが、専門家でも難しく一般の方には到底理解できる仕様になっていません。

禁止されている物質や方法が掲載されていますが、掲載されている例はあくまでも一例です。

2017年から2018年への改定でも解説しましたが、一例にのっていなくても同じカテゴリーの成分であれば禁止となります。

禁止表国際基準に掲載されていないのを見て安全であるという間違った判断をする可能性が大いにあります。

Global DRO

Global DROはオンライン上で、ユーザータイプ、競技名、国と物質名を入力することにより禁止物質であるかどうかを判定できるウェブサイトです。

電波さえつながれば365日24時間お手軽に検索できる便利なシステムで、我々スポーツファーマシストも重宝しています。

Global DROは専門家向け、一般の方には難しい

結論から言いますと、Global DROは専門家向けのウェブサイトで、医薬品の知識の無い一般の方が調べるには難しいです。

理由は以下のとおりです。

調べることができる成分は医療用医薬品の成分のみで、医療用医薬品であっても漢方薬や生薬についてはヒットしません。

そのため、OTC(処方せん無しの医薬品)の成分はヒットしない成分があり、薬の専門家でないと判断が出来ない場合があります。

Global DROで一般用医薬品(OTC)を判定できなかった例

これは、2017年12月13日に調べた例です。

試しにマレイン酸カルビノキサミンと入力してみた例が下記のスクリーンショットです。

マレイン酸カルビノキサミンはパブロンSα微粒などのOTCかぜ薬に入っているヒスタミンブロッカーです。

専門家であればヒスタミンブロッカーは調べるまでもなく使用可能と判断できますが、医薬品の知識の無い方では禁止物質に該当するのかどうかの判断をすることができません。

英語でCarbinoxamineと入力しますと、判定ができます。

しかしながら、現実問題として一般の競技者は成分名の正確な英語表記を知らないのが普通です。

Global DROで医療用医薬品を判定できなかった例

次に2018年1月25日に調べた例です。

トピロリックという痛風治療薬を製品名、一般名、英語の一般名で調べてみましたがヒットしませんでした。

他にもデータベースからもれている医療用医薬品があり、Global DROは医療用医薬品でさえ、完璧なデータベースではありません。自動ではなく、人力で更新されていると思われますので調べたタイミングによっては答えが出ないこともあります。

Global DROは薬学的専門知識がある前提で利用

ほとんどの医療用医薬品がお手軽にネット検索できるメリットはありますが、判定できなかった場合に専門家に改めて聞かないといけない二度手間があります。

医療用医薬品はほとんどが一製品一成分ですが、OTCはいくつかの成分が含まれていることが多く、(日本語検索では特に)複数の成分が判定不可となってしまうためGlobal DROは一般の方が使うには不向きで、専門家が調べるためのウェブサイトです。

健康食品、サプリメント、ハーブなどはGlobal DROでは取り扱っていないので判定ができません。

薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック

日本薬剤師会のホームページからダウンロードできます。

薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブックは成分と商品名の両方から調べることができ、よくある質問に対する回答や使用可能なリストまで掲載されており非常にユーザーライクです。

こちらは使用可能な商品名が明記されているためそれを一言一句間違えなければ一般の方でも安全に医薬品を購入することができます。

薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブックは一つだけ弱点があります

それは、最新版がでるまでに非常にタイムラグがあるということです。

アンチ・ドーピングのルールは毎年1月1日から新しくなり、実施されますが、薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブックがオンライン上で更新されるのは概ね3月から5月。書籍がでるのが6月以降と新ルールへの対応が遅いのです。(その年によってリリース時期はかなり変わります。)

これは薬剤師会の有志の方により間違いがないように内容をよく議論した上で製作されるためで、どうしても時間がかかってしまいます。

弱点というより仕方が無い点ですが、薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブックもサプリメントについては情報が無く、判断できません。

JADAやスポーツファーマシストに問い合わせ

アスリート自身が禁止物質を調べるにはこのようにたくさんの隙間があり、容易ではありません。

アスリート自身で判断がつかない時に相談する先がスポーツファーマシストです。

一点だけご注意いただきたいのがスポーツファーマシストもサプリメントについては判断しない方が多いです。

サプリメントは予期しない成分の混入があるため迂闊な事は回答できないためです。

それを踏まえて分からない時はスポーツファーマシストにご相談ください。

また、回答者によっては気が利かない場合があります。以下のやり取りを御覧下さい。

 

 

 

時系列を追って説明しますと、JADAにワセリン(Vaseline)が使用可能か問い合わせ、JADAからは分からないと回答されたとつぶやいていたのに対して私がフォローを入れた例です。

質問者は一般的な日本語名称のワセリンではなく、ヴァセリンと英語の発音に近い名称で聞いてしまったためJADAが何の物質であるか特定できなかったと推測できます。

しかし、これは私の回答のように質問者と少しコミュニケーションを取れば即座に解決する問題です。回答者は間違ってはいけないという恐怖心が前面に出過ぎていて、職能を果たせていません。

質問者は一般的に医薬品に精通していません。名称を少し間違ったり、一般的ではない表現方法で聞いてくることはよくあることです。質問者とコミュニケーションを取ることにより解決できる問題です。

このパターンでは質問者に商品の画像を送ってもらっても解決しますね。この程度の簡単な事もできないようではスポーツファーマシスト、薬剤師どちらの価値も下げてしまいます。

JADA、スポーツファーマシスト、薬剤師全体への戒めとしてネット上に残しておきます。

専門家に聞けば一発で解決しましす!と、言う論調でしめたかったのですがなかなか専門家によっても回答レベルが大きく異なってしまうようです。アスリートの皆様にはご不便をおかけします。


禁止物質を含まないことを検査されたサプリメント

ABOUTこの記事をかいた人

薬剤師・スポーツファーマシスト。パワーリフティングというスポーツで現在も競技出場しており、競技者目線に立ったアンチ・ドーピングの解説記事を書きます。 主な戦績 2009年、2011年全日本パワーリフティング選手権大会優勝 2011年世界パワーリフティング選手権大会種目別銀メダル 2012年アジアパワーリフティング選手権大会種目別金メダル 2017年度はパワーリフティング、ベンチプレスともに全日本大会3位でした。