ドーピング違反事例をメッタ斬り解説 美人の涙に騙されるな マリア・シャラポワ

2016年のニュースですが、マリア・シャラポワがメルドニウムという物質で陽性反応を出し、資格停止となりました。

よほどの事が無い限り資格停止期間は短縮されません。

何故、マリア・シャラポワの資格停止期間は短縮されたのか?

いつもお世話になっております。スポーツファーマシストの奥谷元哉が解説します。

今回の内容はマリア・シャラポワのファンの方は気分を極めて酷く害されることを強調しておきます。

 

結論から言いますと、マリア・シャラポワ選手は意図的なドーピングであるにも関わらず、大いなる力により減刑されました。

 

マリア・シャラポワの言い訳と不自然に使用されていたメルドニウム

2016年の初めのニュースだったのでどういった経緯だったか復習しました。

http://www.huffingtonpost.jp/2016/06/08/maria-sharapova_n_10366902.html

CASの議事録

http://www.tas-cas.org/fileadmin/user_upload/Award_4643__FINAL__internet.pdf

非常に長いので要点は26-27ページ目の99-102の項目です。

大前提ですが、ITF内での2年の停止処分でも充分にマリア・シャラポワ寄りに配慮された裁定だと思います。

普通の選手でしたら4年でしょう。

マリア・シャラポワの言い訳の概要は下記の2点です。

・ドーピングのルール改定の情報提供が不十分だった。

・信用している医師から出されている薬なので服用していた。

最終責任は選手自身にあるという原則を全く理解できておらず、重大な過失であると私は考えます。

マリア・シャラポワ選手はまるで自分が被害者であるような幼稚で感情的な声明を発表していますが騙されてはいけません。

毎年改定されるアンチ・ドーピングルールを確認せずに競技に出るトップ選手はいません。

ましてや、スタッフが付いているスター選手です。スタッフも含めて誰もアンチ・ドーピングのルール改定をチェックしていなかったということは考えられません。

メルドニウムはリトアニアとロシアでのみ承認されている薬ですが、マリア・シャラポワ選手はアメリカ在住です。

当然、アメリカにはメルドニウムの他にも処方箋により使用できる抗虚血薬が数多くあるため、メルドニウムでないと治療できないということはありえません。

仮に、他の治療目的で服用していたとしても世界一の先進医療国のアメリカで代替薬が存在しないことは考えられません。

メルドニウムは2015年に監視プログラムで、2016年から常時禁止物質です。

ロシアの選手を中心に不自然に件数が多いとWADAは考えていたのでしょう。

ロシアの選手を中心にこのメルドニウムの違反は100件以上出てしまった。

これらの条件を吟味しますと、ロシア系の選手はメルドニウムに競技上有利となる特別な効果を知っていた。

マリア・シャラポワも他の選手と同様、意図を持って服用していた。そうでないと、ロシア国内を制するのが難しい。

服用しながらの出場なのでマスク(尿検査に出ないよう隠蔽工作をする事)したが、失敗したと考えられます。

WADAも大いなる力の前には屈する

マリア・シャラポワの違反事例は普通の選手の場合、4年の資格停止です。

しかしながら、ITFで2年、さらにCASを経て1年3ヶ月にまで短縮されました。

 

通常では全く考えらない減刑は厳罰原理主義のWADAが大いなる力の前に屈したと言わざるをえません。

 

マリア・シャラポワの減刑は世界中のドーピング支持者、ドーピング愛好家に希望の光を与えたと私は重く受け止めています。

強大な影響力と莫大な資産価値があるスポーツ選手はCASに持ち込んで腕利きの弁護士を雇えばさらなる減刑が可能である前例を作ってしまった。

末端の無名スポーツ選手ではこの場合、4年(48ヶ月)に相当する資格停止期間が最終的に33ヶ月も短縮されたわけですから。

競技によっては4年も資格停止期間が発生したら選手生命が終了し、事実上の引退となります。

1年3ヶ月であればカムバック出来る可能性があり、これはアンチ・ドーピングの抑止力が低下したことを意味します。

マリア・シャラポワのファンにとってもクリーンにスポーツに取り組んでいる競技者にとっても胸クソ悪くなる記事でした。

アンチ・ドーピングの抑止力は低下しましたが、誰も彼もCASに持ち込んだら何とかなるとは思えません。

マリア・シャラポワ選手は十把一からげの選手とは存在している次元が違うからです。

法の下に人は平等ではありません。

現実を見据え、我々はクリーンに頑張り続けるしか無いのです。

(この投稿は武器屋 to the World内の2016年10月6日の記事を加筆修正したものです。)

私も競技者ですので、禁止物質が含まれていない事を検査されているPeak Performance Nutrition社のサプリメントを愛用しています。トレーニングだけでなくサプリメントの品質、安全も妥協したくない方へ!