NO系サプリメントはNo

タイトルは香ばしいですが、NO系サプリメントを全否定するわけではありません。

今宵もよく斬れるわ。スポーツファーマシストの奥谷元哉です。

そもそもNO系サプリメントととはナンジャラホイ

NO系サプリメントのNOとは一酸化窒素で、特定の成分を服用することにより、体内の一酸化窒素量を増加させ、血管拡張を促し、疲労の回復促進を狙ったサプリメントの総称です。

この説明だけでもまともな医療関係者は頭痛が痛いのではないでしょうか(笑)

主に、アルギニン、シトルリン、オルニチン、ナイアシン、チロシン、アグマチンにその効果があると謳われています。

具体的にはこういう商品です。(検査を行っている国内の安全なメーカーのものです。)

 

 

NO系サプリメントは極めて汚染率が高い

海外製のNO系サプリメントは極めて違反物質による汚染率が高いです。

これは、消費者が効くと体感したほうが売上の向上につながるためです。

少し前に公開された規律パネルでも汚染による違反であると認定されています。

http://www.playtruejapan.org/downloads/disciplinary_panel/dopingcontravention160112_007.pdf

オキシロフリンは違反率の高い興奮薬

2015年の違反では8件中3件にオキシロフリンで陽性となっています。

オキシロフリンは別名メチルシネフリンです。

シネフリンって監視プログラムには入ってるけどOKなんじゃないですか?

シネフリンは天然由来ですが、メチルシネフリン(オキシロフリン)は合成の医薬品です。

メチルシネフリン S6b興奮薬 特定物質 競技会時禁止

構造式 http://www.genome.jp/dbget-bin/www_bget?dr_ja:D08314

シネフリン 興奮作用あり。監視プログラム(2017年も継続して監視されています。)

構造式 http://www.kegg.jp/dbget-bin/www_bget?D07148+-ja

エフェドリン S6b興奮薬 特定物質 競技会時禁止

構造式 http://www.kegg.jp/dbget-bin/www_bget?D00124+-ja

メチルエフェドリン S6b興奮薬特定物質 競技会時禁止

構造式 http://www.kegg.jp/dbget-bin/www_bget?D02109+-ja

あえて構造式を乗っけてみました。違いがわかるかな?

これらはほんのちょっと修飾が変わっただけで禁止か監視かというくらい薬理作用が変わります。

シネフリンが監視プログラムからS6bのカテゴリーに入るのは時間の問題かもしれません。(2017年も引き続き監視プログラムではありますが。)

ギャスパリニュートリション社はアンチ・ドーピングの競技者は絶対避けるべき悪質なメーカー

問題となったギャスパリニュートリション社のSP250の成分表示にはOxilofrineもMetyl Synephrineの表記もありません。

Citrus RX Complex [Citrus Natsudaidai Hayata Extracts (fruit), Ctirus junos Sieb. Ex Tanake Extract (fruit), Citrus Limonium Extract (fruit), Citrus Aurantium Extract (fruit)] and Tehacrine

シネフリンが入っているであろう抽出された分画は表記されていますが、メチルシネフリンは抽出ではなく、合成です。

抽出分画には入りません。

メチルシネフリン(オキシロフリン)を表示せずに意図的に混入しているためギャスパリニュートリション社は極めて悪質なサプリメントメーカーです。

しかし、警告文に禁止物質の可能性が示唆されており、規律パネル内でもこの一文を読んでいればこの製品を摂取すれば陽性反応が出る可能性があることは容易に思い当たると指摘されています。

メーカーもはっきりと物質名を書いてしまったら売上に影響するのでほとんどの方が読まない警告文の方で禁止物質の存在を示唆し、表示責任を果たしたとしているものと予想します。

人間のサプリメントの主作用を強く期待し、副作用を軽視するという間違った認識を利用した表示の仕方です。

禁止とか監視とか何?という方は下記の記事をお読みください。

競技会時禁止とか常時禁止って何?

愚か者は踊る

NO系サプリの警告文の比較例を出します。

興奮作用のある物質を含まないとされている海外サプリメントの警告文

Do not use if pregnant or nursing. Consult a health care professional before use if you are taking any medication or have any medical condition. Not recommended for use by individuals under the age of 18 without parental permission. Keep out of reach of children.

ごく一般的な内容が書かれています。

興奮作用のある物質を含む海外サプリメントの警告文

This product is only intended for use by healthy adults over 18 years of age. Do not take this product with alcohol. Do not take this product with any product containing caffeine or other ingredients that have a known stimulant effect. Consult your physician before using this product if you are taking any prescription or over-the-counter medications or supplements. Do not use this product if you are pregnant, expect to become pregnant or are nursing. Do not use this product if you are at risk or are being treated for any medical condition including, but not limited to: high or low blood pressure; cardiac arrhythmia; stroke; heart, liver, kidney or thyroid disease; seizure disorder; psychiatric disease; diabetes; difficulty urinating due to prostate enlargement or if you are taking a MAO inhibitor. Discontinue use and consult your health care professional if you experience any adverse reaction to this product. Do not exceed recommended serving size or suggested use. KEEP OUT OF REACH OF CHILDREN.

これ、本当に栄養補助食品ですか?

興奮作用のある物質を含んでいないものよりはるかに数多くの事が書かれています。

明らかに何らかの医薬品を含んでいる警告の内容です。

いくつかのキーワードからエフェドリンを含んでいる警告文だと推測されます。

カフェインくらいだろう?と思われた方にはカフェインの添付文書をご参照下さい。

http://www.info.pmda.go.jp/downfiles/ph/PDF/730119_2115004X1159_2_01.pdf

海外のNO系サプリメントの警告文の方が国内のOTCカフェインよりも激しい内容が書かれています。

ところが、ネット上ではこのサプリメントは禁止物質が含んでおらず、摂取したら集中が上がったとかパフォーマンスが向上するとか顔写真入でアフィリエイトされているブログ記事があります。

そりゃそうだ。薬理作用の強い興奮薬が入ってるんだから。無知って恐ろしいですね。

無知な方が情報発信をすることにより被害者が拡大する。

アルギニンとかシトルリンで摂取後すぐに元気になると思います?

ちゃいまっせ。表示されていない興奮薬が効いてるだけ。

栄養補助食品で即座に体調は変わりません。即座に人間の体調を変えてくれるのは医薬品です。

即座に効き目を体感できるサプリメントというのはアンチ・ドーピングの競技者にとって非情にリスクの高い物だと認識して下さい。

ちなみにアルギニンの血管拡張作用でどうのこうのとみんなすぐに考えずに受け売りを脊髄反射で発信してしまうのですが興奮薬の血管収縮が勝つと思います。

効果があるとされるNO系サプリは裏成分の興奮薬でパフォーマンスが上がる効果を体感させ、その効果を栄養補助食品の成分によるものだと誤解させる製品が多く存在すると言わざるをえません。

効く製品を望む消費者が多く、アンチ・ドーピングに参画していない消費者も多く存在するため、資本主義に則ると効かない製品は作れないというのが実情ではないでしょうか。FDAが厳しくて~、訴訟社会だから~の議論を持ち出したい方は多くのサプリメントがリスクが高いとされている前々回に紹介したUSAのアンチドーピング機構のリストをご参照下さい。
http://www.supplement411.org/hrl/

俺はアンチ・ドーピングの競技に参加しないから関係ねー

そうですね。あなたのNO系サプリを服用するという自由を制限する合理的な理由はありません。

興奮薬なんて検査の3日前にやめればよゆーでOKと考えられている方には8日前にエフェドリンを含む風邪薬の摂取を中止後、競技会時の検査で陽性が出た事例を紹介します。

http://www.playtruejapan.org/downloads/disciplinary_panel/dopingcontravention151221.pdf

ただ、この8日前は嘘か本当かは明記されていないので分かりませんが○日前の設定をミスすると一撃でアウトになってしまうことを認識して下さい。(人体にイレギュラーは発生します。)

以上のようにドーピングで出た実績のある製品を避けるのは当然ですが、それだけではダメでもっと本質的な事を理解しないといつか引っかかってしまう時が来ます。

残念ながら、この違反してしまったボディビル選手は言い訳を見る限りアンチ・ドーピングルールの本質を理解しておりません。

本質について書いた記事は下記です。

アンチ・ドーピングの競技者には絶対に読んで欲しい最重要ドーピング違反しないための基本のき

うっかりドーピングは存在しない

サプリメントに表示されていない成分が入っていてドーピング陽性となってしまった

 

アンチ・ドーピングルールの競技者は本質を理解し、このような失敗をしないようにしましょう。


禁止物質を含まないことを検査されたサプリメント