アスリートはできればドーピングで引っかからずインペアード・パフォーマンスの起きにくい飲み薬や点鼻薬を使用したほうがよいのですが、今回はあえて逆のインペアード・パフォーマンスが起きやすく、ドーピング違反になる可能性のある薬を紹介します。
いつもとは逆のテーマを取り上げる理由は、
花粉症対策として効果が高いからです。
アスリートとして使い方に気をつけるリスクはありますが、有用性があるため紹介します。
INDEX
花粉症対策としての抗ヒスタミン薬ですが、眠気と効果の強さは概ね相関します
個人差はありますが、おおむね以下の通りの強さの順です。
(主作用副作用が強い)第一世代抗ヒスタミン薬+糖質コルチコイド>第一世代抗ヒスタミン薬>第二世代抗ヒスタミン薬(主作用副作用が弱い)
以前に紹介しましたインペアード・パフォーマンスを起こしにくい飲み薬は残念ながら効果の上では最弱クラスです。
インペアード・パフォーマンスありの抗ヒスタミン薬の種類
第一世代+糖質コルチコイド
セレスタミン配合錠

セレスタミン配合錠とそのジェネリック医薬品は、ステロイド(糖質コルチコイド)が入っている飲み薬ですので競技会時のみ禁止されます。(抜き打ちのドーピング検査で検出されても問題無し)
ステロイドの内服のため市販薬(OTC)はありません。
作用は最強クラスですが、眠気、口渇、インペアード・パフォーマンス等(これらの副作用は第一世代抗ヒスタミン薬に起因)と副作用も最強クラスです。
長期に大量使用した場合はステロイド特有の副作用である高血圧、高血糖、胃潰瘍、骨粗鬆症、感染症も出る可能性があります。
鼻や眼の症状が辛すぎる時に限定して頓服での使用が良いでしょう。
セレスタミン配合錠にはベタメタゾンという作用の強いステロイドが含まれています。
ベタメタゾンは半減期が36-54時間と非常に長いです。
体内から消失するための必要な時間は最大で270時間かかる見込みとなります。
ドーピング検査が実施される競技会に出場される場合で、一ヶ月を切っている場合はうかつに体内に入れないようにしましょう。
セレスタミン配合錠が無いと花粉症に耐えられないという方は花粉シーズンの競技会参加は見送ったほうが良いです。
第一世代抗ヒスタミン薬
ポララミン(d-クロルフェニラミンマレイン酸塩)

ザジテン(ケトチフェンフマル酸塩)

タベジール(クレマスチンフマル酸塩)

市販薬(OTC)の鼻止め成分でも広く使われているので手に入りやすく、薬価が安いというメリットがあります。
作用は強いですが、眠気、口渇、インペアード・パフォーマンス等(これらの副作用は第一世代抗ヒスタミン薬に起因)と副作用も最強です。
第一世代抗ヒスタミン薬は禁止物質ではありませんので常時使用可能です。
第二世代抗ヒスタミン薬 主作用、副作用が強い
主作用、副作用の強い第二世代抗ヒスタミン薬は以下のとおりです。
アレロック(オロパタジン塩酸塩)

ジルテック(セチリジン塩酸塩)

ザイザル(レボセチリジン塩酸塩)

セチリジン塩酸塩にはOTCがあります。
第二世代抗ヒスタミン薬 主作用、副作用が中程度
アレジオン(エピナスチン塩酸塩)

エバステル(エバスチン)

タリオン(ベポタスチンベシル酸塩)

アレジオン、エバステルにはOTCがあります。
第二世代抗ヒスタミン薬 主作用、副作用が弱い
アレグラ(フェキソフェナジン塩酸塩)

クラリチン(ロラタジン)

第二世代抗ヒスタミン薬も禁止物質ではありませんので常時使用可能です。
インペアード・パフォーマンスありの市販(OTC)抗ヒスタミン薬の種類
アレルギール(クロルフェニラミンマレイン酸塩)

第一世代抗ヒスタミン薬で、作用と副作用が強いです。
ザジテンAL鼻炎カプセル(ケトチフェンフマル酸塩)

第一世代抗ヒスタミン薬で、作用と副作用が強いです。
コンタック鼻炎Z(セチリジン塩酸塩)

第二世代抗ヒスタミン薬で、作用、副作用が強いです。
アレジオン(エピナスチン塩酸塩)

第二世代抗ヒスタミン薬で、作用、副作用が中程度です。
エバステルAL(エバスチン)

第二世代抗ヒスタミン薬で、作用、副作用が中程度です。
アレグラFX(フェキソフェナジン塩酸塩)

第二世代抗ヒスタミン薬で、作用、副作用が弱めです。
〆
アレルギー症状を抑える抗ヒスタミン薬は効果の強い成分ほど副作用も強く出る傾向があるとされています。
アレルギー症状が強い場合、眠気、インペアード・パフォーマンスを避けた医薬品では全く症状が収まらない事はあります。
その場合は眠気、インペアード・パフォーマンスよりもアレルギー症状を抑える方が全体的なパフォーマンスは良くなります。
メリット、デメリットを総合的に判断して薬を選んでください。
特に、ベタメタゾンが含まれているセレスタミンは作用が強力ですが、体内から消失するまでに非常に時間がかかるため、競技会が近い時はうかつに体内に入れないようにしましょう。
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