ドーピングの問題を語る時によく表現されるのが「うっかりドーピング」という言葉です。
本当にうっかりとドーピングをしてしまうものでしょうか?
結論から言いますと、
うっかりドーピングはかつて存在しました。2017年現在ではうっかりドーピングは存在しません。全てのドーピング違反例は違反者の意図を持って行われています。
何故、かつて存在し、今は存在しないのか?
答えは簡単です。ほんの数年前まではどの物質や方法が違反であるかについて調べるための情報源が限られており、ほんのごくわずかな人しかアンチ・ドーピングのルールを理解していませんでした。
また、スポーツの団体におけるアンチ・ドーピングの普及啓蒙活動も充分ではありませんでした。
情報が乏しい時代においては競技者は意図せずにドーピング違反を行ってしまったと推測できる違反事例がありました。
今日では競技者自身で禁止物質や禁止方法であるか否かを調べるためのGLOBAL DROや薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドがあり、分からない時のためにスポーツファーマシストや都道府県の薬剤師会がアンチ・ドーピングの質疑応答を行っています。
質疑応答にとどまらずスポーツ団体でアンチ・ドーピングのセミナーも積極的に行われるようになりました。
アンチ・ドーピングのルールは毎年複雑化しますが、更新された情報はすぐにネットを通じて伝達され、ネット情報に触れられない人にも口頭で伝わります。
アンチ・ドーピングに関する情報があふれ、何をしたら違反となってしまうか知ることが容易であるにも関わらず依然として毎年違反者は出続けています。
このような違反者はうっかりとは呼べません。
ドーピング検査なんて当たらないだろう、(根拠なく)バレないだろう、マスク(禁止物質を他の物質を用いて尿中に出ないように工作する事。)してるから大丈夫だろう、このように考えている選手が違反例として挙がっています。
違反事例はJADAの規律パネルで公に報告されており、その中にはどのような経緯で違反となってしまったかが書かれています。
違反者の言い訳も包み隠さず掲載されているのですが、何故か専門知識の無い方は違反者の言い訳を良い方向で評価してしまい、陽性で失格という最低最悪の結果を見落とされています。
どのような経緯があろうとも陽性により失格し、競技選手資格停止になったという結果が全てです。
2017年現在、うっかりドーピングは存在しません。皆様の正しいご理解と評価がスポーツの価値をより高めるものと信じております。
ドーピング違反しないための基本の記事をまとめています。