スポーツファーマシストの奥谷元哉です。
営業でフィリピンのケソン市で行われているアジアベンチプレス選手権大会に行ってきたのですが、大会会場で禁止物質を含むサプリメントの試飲を行っているのを発見しました。
ツイッターにも書きましたが、ツイッターは流れてしまうのでブログで改めての投稿です。
隣の店員が試飲の機械が止まる度に再起動をして、ついでに味見という名の横領をしていたので一体何を飲んでいるのだろうと気になったのでおもてを見てみますと、
Do not over dose
の文字が書いていました(笑)
すごく分かりやすいですね。
もちろん、店員に当該のサプリメントを見せてもらいました。

INDEX
販売されていた禁止物質を含むサプリメント

画像クリックで拡大します。
HigenamineとPhenetylamineの文字が・・・
おいおいアウトだろってことで日本の団長経由で主催者に連絡。
主催者が大慌てで撤去を指示し、試飲は廃棄。商品の会場内での販売が禁止に。
主催者も化学専門だが、どの物質が禁止か等の細かいところまでは分かっていないので助かったと。
まあ、禁止物質が頭に入っている変態はそうはいませんよね(笑)
幸い、日本人選手団は口にしていませんでした。
残りの商品も成分鑑定させられましたが、表示上は問題無しでした。表示上は。
難しいのがこのサプリメント屋さんも協賛金を払って出店している以上、怪しいからダメだとは言えません。やはり、明確な根拠を持って禁止物質を含んでいると説明しないと相手も納得しませんので。
ヒゲナミン
ヒゲナミンはベータ2作用薬です。以前にもブログ記事にしました。
フェネチルアミン
フェネチルアミンは特定物質である興奮薬です。
禁止物質を含むサプリメントの名称は

ロニー・コールマンのYEAH BUDDYという商品です。
ロニー・コールマンと言えば、筋トレをしている人なら誰しもが知っている世界一のボディビルダーです。
そのロニー・コールマンの名前を冠したブランドで、商品名はロニー・コールマンのトレーニングの気合の掛け声から来ているそうです。
この商品は明らかに禁止物質を表示してくれていました。ドーピング違反の注意喚起の文言はありませんでしたが。
ベータ2作動薬に興奮薬が組み合わさっていますのでオーバードーズはダメですし、これは気合が入ると思います。
ただ、アンチ・ドーピングの競技者は服用してはいけません。
しかし、危険は続きます
何と、廃棄した方のタンクを簡単に洗って私が問題ないだろうと言ったプロテインを入れて試飲を再開していました。
これには参りました。
全然、洗い方が不十分で残存の可能性大です。
店員もまともな教育を受けていない人達なのでどうしようもありません。事の重大性とか伝わりませんので。
もちろん、選手団長には絶対にあそこのサプリメントの試飲は口にしないよう念押しをしておきました。
今後、当該物質で違反が出てしまったら
私にも意見を求められるでしょうが、もちろん回答は決まっています。
飲んだ選手の全責任です。
これは私のブログの読者でしたらお察しの通りです。
どのような理由があろうがそれを飲むと決断したのは選手自身です。
禁止物質が検体中に存在した場合、その責任を負うのは当該の選手自身です。
〆
再度の警鐘ですが、アンチ・ドーピングの競技者は口に含む前にまずその物質が安全であるか、今、その物質を体内に入れるのは適切な行為であるのかを自問自答してください。自ずと答えは見えてきます。
スポーツファーマシストの方は会場でサプリメントの試飲が行われている場合は積極的に成分を見に行ってください。
結果的には商売の邪魔をしますが、選手に不利益が及ばないようにするのが我々の仕事です。